『「多様な学習者」の「多様な学び」を支える教室づくりを目指して』
(講師による内容紹介) 日本で生活しながら日本語を「生きるためのことば」として学んでいる学習者が増えています。そこで言われている「多様化」とはどういうことか、地域の教室で行われる日本語教育について捉えてみましょう。このことは「日本語を教える」というイメージを再考すること、「日本語教育」そのものについて再考することにつながります。 具体的には、日本語を支援するとき、「どうやったらわかるだろうか」と誰もが思う、この「理解してもらうための方法」を探ります。しかし、多様な学習者すべてが理解できる方法が果たしてあるのでしょうか。日本語支援のあり方から「理解」について考えることが、教室という「場」の見直しにつながっていきます。講座では講義とディスカッション、簡単なワークを予定しています。
「ピア・ラーニングのすすめ -協働による学びをデザインする-」
(講師による内容紹介) ピア・ラーニングとは、ピア(peer:仲間の学習者)同士が協働して学びを達成していくものです。教室という場に学習者が複数人数集まっているのは、効率的に教育が行われるためばかりではないでしょう。教室をひとつの社会と考え、多様な背景をもったものが、学ぶためにある時間帯、ある空間に集まっているのだと考えると、教師の仕事は学習者同士が互いの力を発揮し主体的に学びあえるように、その「場」をデザインするということになります。そんな観点から、みなさんといっしょに教室での学びを考えてみたいと思います。 参考図書 池田玲子・舘岡洋子著「ピア・ラーニング入門―創造的な学びのデザインのために」ひつじ書房
「コミュニケーションのための日本語教育における文法の役割」
(講師による内容紹介) 日本語教育は、日本語の構造を教えるために行うものではなく、「聞く」「話す」「読む」「書く」というコミュニケーション活動をうまくできるようにするために行うものです。 しかし、日本語の教科書は、日本語の構造を解明する「日本語学」の文法に基づいて作られているのが普通です。そのため、コミュニケーション活動にとって不必要な文法が入っていたり、コミュニケーション活動にとって必要な文法が入っていなかったりします。 今回の講座では、日本語教科書に載っている練習例や、現在試作中のコミュニケーション重視の教材の練習例を見ながら、コミュニケーションのための日本語教育における文法の役割をいっしょに考えていきましょう。
(講師による内容紹介) 「構成的グループエンカウンター」は、教育カウンセリングの分野で用いられてきた方法論で、ホンネと本音を交流する参加体験型のグループ活動のことである。近年、小中高の学校現場で活用されるようになってきている。そのエンカウンターのコミュニケーション能力の促進させる機能を日本語教育の分野に応用できるとの観点から、基本理念と具体的なエクササイズを紹介したい。自己開示、自己理解、他者理解、他者受容、自己主張などを組み込んだエクササイズを通しての気づきを体験してもらいたい。さらには、クラス内の人間関係づくり、協力関係づくりにも貢献する要素があることをお伝えしたい。広い意味では、教授法の一つと考えていただいてもいいのではないかと思っている。
宮崎駿のアニメ『千と千尋の神隠し』を2006年の夏のPrinceton-in-Ishikawa(= PII) の3年生の日本語教育で主教材として使いはじめ、その秋からはプリンストン大学でも使いはじめました。この夏のPIIで5回目です。この講演ではこのアニメの文化的視点をどう教えるかに中心をおいてお話しします。主に取り上げる問題は(1)なぜ主教材としてアニメを使うのか。(2)どうやって『千と千尋の神隠し』を主教材として日本文化と普遍的文化を教えるのか。(3)「水の物語」としての『千と千尋の神隠し』。そして、(4)水の比喩と三水の漢字、などです。 ぜひ講演の前にこのアニメを(もう一度)ご覧になってください。