慶應義塾大学総合政策学部 教授 平高 史也 氏
「言語政策・教育・学習」
<講師からの講義内容紹介> 目の前の学習者に対する日々の授業に追われていると、自分が関わっている教育の営みを取り巻く大きな政策の枠組みの存在に気づかないことが多い。この講義では、言語学習者と教育の現場およびその背後にある言語政策との関係に注目しつつ、地域の日本語教育をめぐるいくつかの問題を取り上げる。具体的には以下のようなテーマに触れる予定である。
平成22年10月30日(土) 9:00~12:00
金沢大学留学生センター 准教授 松田真希子氏
「外国人とおしゃべりしよう!-『にほんごこれだけ!』の使い方-」
【講師からの内容紹介】 地域の日本語教室に、まったく日本語を話せない外国人がきたとき、困ったことはないですか? また、限られた日本語の中で、どうやったら、外国人とのおしゃべりをはずませ、続けることができるか、悩んだことはないですか? そんな皆さんへの一つの提案として作ったのが『にほんごこれだけ!』です。この本は、ゼロ初級の外国人参加者でも、おしゃべりを楽しみながら、基本文型が身につくように作られています。 このワークショップでは、皆さんの普段の悩みを共有した後、この本を一緒に使った活動をしてみることで、本の目的や良さを理解してもらえればと思います。また、皆さんの今後のよりよい活動への手掛かりになればと思っています。
●講義(2時間)の後、地域の日本語教室で日本語を教える皆さんの情報交換会を開催します。(1時間予定)
●同様の講座を10月23日(土)に輪島市でも開催します。お近くの会場を選び、お申し込みください。輪島会場のお申し込みは申込先が輪島市となります。詳しくは下記より申込みチラシをダウンロードの上、ご参照ください。
筑波大学留学生センター非常勤講師 ボイクマン総子氏
「会話教材の開発とその実践〜『聞いて覚える話し方 日本語生中継 初中級編』を使って〜」
『聞いて覚える話し方 日本語生中継』は、自然な会話の習得を目指して作成された教材です。今回の研修では、この教材のコンセプトと、それを授業の中でどのように実践しているかについてお話ししたいと思います。 会話が自然であるかどうかは、文法の正確さや語彙の適切さだけで評価できるものではありません。場面に応じて表現を選び、談話の流れにも配慮する必要があります。 また、話し手が伝えたい気持ちと、用いられた表現や談話の流れが合っているかどうかにも気をつけなければなりません。研修では、このような、本教材の開発の基となったコンセプトの詳細とそれらが教材にどのように反映されているのかについて、ご説明いたします。 さらに、この教材のコンセプトを活かすには、何に留意して学生に練習させ、学生が行った会話にどのようなフィードバックを与えればいいのかについても、私自身の授業実践を例にして、参加者のみなさんと一緒に考えたいと思います。
プリンストン大学東洋学部教授 牧野成一氏
「翻訳で何が失われるか」
言語A から言語Bに翻訳するときに失われるものはたくさんありますが,言語Aを知らない人にとっては翻訳は不可欠ですから,翻訳の功罪は功の方がはるかに大きいことは否定できないでしょう。しかし,私のお話では敢えて日本語で書かれたもの --- 特に詩や小説 --- を英語に翻訳する場合, 一体何が失われるかを考えてみたいと思います。日英語は表面上の構造がかなり違っているので,もちろん,まず音と表記は失われます。しかし,俳句や短歌や現代詩のように音が決定的に重要な役割を果たしている文学ジャンルでも日本語から英語へ,英語から日本語への翻訳がかなり頻繁になされています。表面の語彙の形態やシンタックスももちろん失われます。 日本語の原作の会話の部分に出てくる方言の持つ音と含意も失われます。さらに,日本語で書かれた文学作品を英語に翻訳する場合に認知的に何が失われるのか ---つまり,日本語の原文には明示的に表現されている深い認知的な意味が翻訳でどうのように失われるかについても考えていきたいと思います。この考察対象は多岐にわたりますが,今回は,日本人の作家が意識的か無意識的にするシフトの問題,特に,時制,フォーマリティ,数などのシフト現象に焦点を置いてお話します。最後に日本語教育との関係でも翻訳によって何が失われるかを知ることによって読み教育のフォーカスが定まるのではないか,ということを指摘し,この角度から読み教育のあり方を考え直したいと思います。
過去のテーマ別研修会
平成21年度テーマ別研修会 平成20年度日本語教育研修講座